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顔の赤み・酒さの治療について

美肌治療

2024.03.18

赤み治療

顔の赤みにはいろいろな原因があります。

かぶれや湿疹、にきび、血管拡張、酒さ、口囲皮膚炎、膠原病などの多岐にわたります。

ただし多くは湿疹やニキビ、血管拡張などで診断は比較的容易です。

上記のいずれでもない赤みで、毛穴を病変の中心にその周囲の赤みがあり、特に両頬に赤みが出るものに酒さがあります。

酒さの原因は根本的には不明ですが、ある程度遺伝的な要素がありTLR2の過剰な反応がきっかけかと考えています。

酒さの悪化因子には紫外線やニキビ菌(アクネ菌)、毛包虫(ニキビダニ)、外気温(暑い冷たい)、香辛料、花粉など非常に種類が多く

原因や病態が理解しづらい理由となっています。

病態をまとめた図(2番目の図)を載せています。

いろんな環境因子がきっかけで炎症が悪化することが特徴ですが、それぞれがどのようなルートを経て炎症を悪化させるかがわかっています。

TLR2やTLR3(TLR:toll-like receptor)が炎症を起こすスイッチとなり、その下流の炎症(カセリサイディンや活性型抗菌ペプチドLL37)が悪化します。

具体的には肥満細胞、好中球を介してMMP9や活性酸素が増えて炎症が起きます。

ちなみにTLRとは自然免疫受容体といって、非自己の物質を認識して免疫を発動させるセンサーとなる受容体です。

上流ではTLR2がスイッチとなり、下流では外気温や花粉などが増悪因子となります。

外気温はTRPチャネルを介して肥満細胞を活性化させます。

TRPチャネルについては3つ目の図を御覧ください。

花粉はIgEを介して肥満細胞を活性化させます。

TRPチャネルは温度センサーの受容体です。

温度以外にもカプサイシン(香辛料の成分)で活性化するのでこれが酒さの増悪に関わっているのは容易に推測できます。

その他紫外線がTRPV1の発現を増やすことから温度やカプサイシンへの過敏性を増すのも酒さ増悪に関連しているのかもしれません。

次に治療法についてまとめています。(4つ目の図)

それぞれの原因や増悪因子を抑えるものが治療法になります。

薬品としてはビブラマイシン、ミノマイシンなどの抗生物質、ロゼックス(メトロニダゾール)やイベルメクチンなどの寄生虫に対する治療薬

交感神経経由で血管収縮を起こす薬剤、抗酸化剤などがあります。

アゼライン酸は抗菌作用と、抗酸化作用の両方の作用があります。

治療薬ではないですが、日常の増悪因子を減らすものとして日焼け止めや食事への注意、外気温への注意などがあります。

アレルギー反応が肥満細胞経由で酒さを悪化させますので、抗アレルギー薬も酒さの増悪を減らすには良いです。

治療が難しい印象の酒さですが、診断さえしっかりできれば

あとはできることを順に試して、日常生活の悪化因子を減らして改善を図りましょう。

難しいようで難しくない酒さ治療の説明でした。

次はTLR2辺りに著効する良い薬が世の中に現れる日を待っています。